そして、失恋をする
「千夏は、どうするの?」

僕は、なにげない口調で千夏に訊ねた。

「私には、関係ないよ。進路なんてね‥‥」

明るい口調でそう言って千夏は、ペットボトルに入っていたジュースをゴクリと飲んだ。

ペットボトルの飲み物が、半分ぐらいまで減った。

「就職も進学も、私には関係ないことだよ」

千夏は自分の未来のことを、まるで他人の人生かのように冷たく言う。その彼女の声は、かすかに悲しそうだった。

「それは、千夏の賭けた未来がそうなったときの仮定の話だろ。僕の想像した未来には、ちゃんと千夏がいることになってる。それだけは言える」

自然と動かした口から、僕は千夏にはっきりと伝えた。思わずそんな言葉を口にしたのがはずかしかったのか、僕の頬がかすかに赤くなる。

「陸君‥‥‥」

ゆっくりと開いた彼女の口から、千夏は僕の名前を口にした。

千夏はぱっちりとした大きな目を丸くして驚いた顔をしていたが、彼女の頬も少し赤みを帯びていた。

真昼の夏空の下、ほんの静かな時間が訪れた。
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