そして、失恋をする
「なんで、助けたの?死にたかったのに!」

「え?」

女性の口から出たのは感謝の言葉ではなく、助けたことに対しての文句だったことに僕の顔がきょとんとなった。

「どうして、助けたんですか?私は、死にたかったんですよ!」

感謝の言葉どごろか、彼女は文句を言いながら僕の胸ぐらを両手でつかんだ。

「へぇ………?」

彼女が言った言葉が理解できず、僕はパチパチと瞬きを繰り返した。

「せっかく、死ねると思ったのに。なんで、そんなよけいなことをあなたはしたんですか?」

女性はその場で僕を押し倒して、馬乗りになって頬を強く右手でビンタした。

パチンという高い音が静かな夜に響いて、僕は「いてぇ」と、短く悲鳴を上げた。

「なんで、私を助けたんですか?」

そう言って彼女は再び、僕の頬をもう一度叩こうとして右手を振り上げた。
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