そして、失恋をする
千夏が入院している総合病院に僕が到着してから、少し時間が経った頃。病室の窓から見える太陽が西に沈みかけ、街の景色を鮮やかなオレンジ色に染めていた。
「陸君は、学校楽しい?」
「え、楽しいよ」
病院のベッドで座っている千夏にそう訊ねられて、僕は低い声で答えた。
「いいなぁ」
僕の言葉を聞いて、千夏はうれしそうに言った。
「私、学校にあまり行けないんだ」
そう言って病室の窓に視線を向けた千夏は、どこか悲しそうだった。
「そうなんだ」
パイプ椅子に座っている僕は、彼女の聞き役にしかなれなかった。
「私に残された寿命は後少しだから、病院での生活が多くて………」
小さな声で伝えた千夏は、とてもさびしそうだった。
「一周間だっけ?」
「え?」
「一周間しか生きれないんだよね?」
僕は、千夏に視線を移して訊いた。
「そうだよ」
軽い口調で言った千夏だったが、表情はとても悲しそうだった。