そして、失恋をする
「世の中って、不思議だよね」

「どういうこと?」

しんみりとした口調で呟いた千夏の言葉を聞いて、僕はピクリと眉を動かした。

「両親の元で産まれ、大事に育てられた子供もいるのに。両親が離婚し、自分の子供を大事に育てない親もいる世の中なんて………」

「それ不思議じゃなく、不公平って言うんじゃないの?」

「そうとも言うね」

「そうとしか言わないよ」

僕は、きっぱりとした口調で答えた。

「それに、両親が離婚した子供のことって、僕たちのこと言ってる?」

「そうと言ったら怒る?」

「いや、事実だから怒らないよ。けど、そんなの子供の僕たちにはどうすることもできないよ。親は子供を選べないし、子供も親を選ぶことはできないのだから」

これが彼女に言える、僕の最善のフォローの言葉だった。

ーーーーーーたしかに千夏の言うとおり、世の中は不思議だ。いや、不公平かもしれない。けれど、そんなことを考えてもキリがないことだ。

僕はできるだけ前向きに考えるようにしたが、千夏の気持ちもすごく共感できる自分もいた。
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