うそつき
Chapter5
体育祭。


僕たちの学校で一番最初に行われる大きなイベント。


イベントごとには気合を入れていて体育祭の1週間ほど前から毎日1時間は体育祭の練習が入る。


そして、放課後も練習に使っていいことになっている。


ということはだ。


ということはです。


言いたいこと、わかりますよね?



帰りが遅いのです。



どうしましょう。


帰りたい。



果乃に練習のことを伝えると、あからさまに拗ねられてしまった。


『…いじわる。…ばーか』



昨日の機嫌は極めて悪く、悪態をつき、布団に潜り込んでしまった。



今朝も果乃の部屋に顔を出すと、目も合わせてくれなかった。


『…やだ、起きてないもん』


起きてるのに、起きてないって言っちゃうあたり可愛い。


…多分、構ってくれるのがいなくなって寂しいんだろうな。


早く帰りたいのは山々なんだけども…。


「おい…真宮」


「ん?」


「もう全員行ったぞ」


「あ、ほんとだ」


この無愛想な男は水嶋千都(せと)。


『White liar』のベース。


イケメン無口が女子にはモテるのか、バンドの男子メンバーの中で二番目に人気。


もちろん一番人気は和馬だけど。



更衣室を出てみんなが集まっているところに行くと、女子が何やら騒いでいた。


「和馬くんって運動神経いいらしいよ〜」


「唯兎くんとなかなかなんだって〜。和馬くんの次に走るの早いって〜」
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