ラッキーナンバー
 


「…そのバカでブスな女に惚れたのはどこのどいつですかぁー」

「あぁ、」



ぶすっと口先を尖らせて言えば、志築くんが親指で私の涙をぬぐって顔を近付ける。



「俺だよ」



天才でカッコ良くて、なんでもできる完璧男のな、と志築くんが付け足したのをサラッと流し

私はギュッと背中に手を回す。



「つまり…さ」

「うん?」

「お前が1番言いたかった言葉って、何?」



わかっているくせに、私の耳元で志築くんがたずねる。

う………

素直になれ、私。






「…………好き、だよ」



たった2文字の言葉なのに、時間をかけてそう答えると

志築くんが目を細めて笑うのが見えた。






そして私達は
ゆっくりと、キスをした。



< 201 / 212 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop