俺の彼女が一番可愛い!
「早いし美味いし…。ちょっと突っ込んだこと訊いてもいい?」
「…な、なに?」

 突っ込んだこと、と言われると身構えてしまう。

「何歳差?」
「えっと…いくつだろ、あ、4歳かな。今21だから、25歳の人だよ。」
「俺より上じゃん!」
「え、岡田さん、25歳?」
「じゃなくて!」
「あ、う、うん。わかったわかった。好きな人ね。」

 健人としては何気なく言った『好きな人』という言葉がどうやらだめだったらしい。染まる頬がそれを物語っている。

「どんな人なの?」
「どんなって…。」
「あ、もちろん言いたくないなら言わなくていいけど。」
「…可愛い人。一生懸命で。」
「…わ、わかる…!」
「え?」

 健人はこの日最大の共感を示した。

「一生懸命で可愛いんだよね。いつも、頑張りすぎちゃうんだよ。」
「…すげーわかる。疲れてるとき、絶対キャラメルマキアート頼むんだよ。」
「え、お客さんなの?」
「…そう。」
「うわー…すごいなぁ、俺と同じ。」
「え、ここに来てた人?」
「うん。」

 健人が肯定すると、凛玖の表情がぱあっと明るくなる。

「どうやって距離詰めたんだ?」
「え?」
「いやだって、客とバイトの関係だったんだろ?しかも向こうは仕事してて、こっちは大学生。ここまで同じだったら、お前のやったことやっていけばうまくいかない?」
「…いや、真似するの無理だと思う。だって、パン屋さんで酔っ払わない…よね?」
「酔っ払う?」
「…めちゃくちゃかっこ悪いんだよね、告白の仕方が。だから、真似しない方がいいと思う。」

 酔っ払った綾乃をおぶって帰り、その勢いだけで気持ちを伝えた、だなんて。
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