無愛想な仮面の下
13.間が悪い
「大丈夫だった?」

 職場に戻ると沙羅に声をかけられた。
 貧血で倒れたということになっているらしかった。

「うん。もう平気。」

 私もおおごとにしたくない。
 貧血ということにしておきたかった。



 1日が終わろうとしているのに、佐久間さんとはあれから話せていない。
 顔さえも見えない。

「由莉ちゃん、やっちゃったね。」

 守谷さんが親しげに話しかけてきてうんざりする。
 話したくもない人には話しかけられるんだから!

 この人が社長の息子なんてにわかに信じがたい……。

「私、何もしてません。」

 肩書きを知ったところで守谷さんへの態度を変える気は起きない。

「うん。そうだけどさ。
 また殻にこもっちゃうかもよ。あいつ。」

「え………。」

 楽しそうに笑って守谷さんは去っていった。

 何が言いたかったのか。
 それは翌日分かることとなった。









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