* Reality * ~鏡の顔~
次の日就業時間の30分前に秘書課に着くや否や 秘書室長に専務の部屋に行くように言われた。


コンコン。
ノックをして専務室に入る


「失礼致します。専務おはようございます。」


「ああ、おはよう胡桃。朝から呼ばれた理由はわかるか?」


「はい専務。私の連絡先はこちらです。昨日は慌てて帰宅したせいで、専務の連絡先を聞いていない事に気付きませんでした。申し訳ありませんでした。」


「ああ、そうだ。これは俺の住所と、私用の連絡先だ。胡桃はイレギュラーな採用だから。誰も連絡先を知らなかったとは、うっかりしていたよ。」


「専務 今日はお邪魔させて頂くつもりですが 宜しかったでしょうか?」


「うん?今日は予定があるからダメだ。」


「左様ですか。残念ですが仕方がありませんね。」


本当は全然残念でも何とも思わないけど、この男…これわざとなの?わからない、やっぱり。


「これでも 毎晩予定が何かと埋まっているんだ。胡桃寂しいか?」


は?全然--とは言えないし。


「専務は素敵過ぎるので納得です。私の時間も作って欲しいです。」


ニッコリ笑いながら、みんな専務の肩書きや見た目だけな男だというのに一緒にいたいんだ。つまんなくないのか?と反対に心配しびっくりした。


スッと気配を感じたと思ったら…いつの間にか専務に抱きしめられていた。


何さっきので?チョロ過ぎじゃない?


「可愛い…もっとちゃんと顔見せて?」


確かに顔はいい。イケメンな男…だけど私には効かないから--


んっ…


一瞬で顎を持ち上げられ キス。


私の許可一切なしの俺様な男
信じられない――


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