* Reality * ~鏡の顔~
「離して大也…。いくらなんでも時と場所を考えてよ。それにあなたは、専務と言う立場を忘れては駄目だから。」



然り気無く 離れる口実を並べただけ…。



「すまない。そうだよな…悪かった。胡桃だけだよ、俺に注意するやつなんて…」



どうした?何があった?人間的に壊れてると思ってた人なのに、すごくマトモな対応にこれも罠じゃないかと勘ぐる私は 悲しい心の持ち主でしかない。



「さぁ専務、今日も今から外出の嵐ですよ。しっかり仕事しましょう。時間は待ってくれませんよ。」



人の心は儚く いつ何時揺らぐかわからない微妙な空気の中、私は隣の助手席に専務を乗せて車を発進させた…


私のミッションはあなたを知る事。今は何も考えずに、与えられたお題を遂行するだけ。


ーーー私の仕事に、心は要らない。


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