朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
終始――生きること自体を面白がってのらりくらりな吹雪はさておき、俺と降渡の間で意見が割れることはよくある。
大体がこんなしょーもない理由だが。
……降渡がマジメな顔するのも、対俺のときくらいか。
睨んでくる降渡。
いつもなら睨み返して言い合いになるところだが、今日は遙音にとってめでたい日だ。
……嫌だけど譲歩するか。
「……わかった、降参。遙音、お前の分のメシ、咲桜が作ってくれたのあるから食ったら帰って寝ろ。進路決まるまで夜歩き禁止」
「えっ、咲桜のメシ食っていいの?」
遙音の意識がまともになった。
「反応はそっち? 夜歩き禁止はいいわけ?」
遙音派についた降渡は苦笑して言う。
……確かにな。
「勝手に出歩くし。サツ署じゃなくて主に雲居んとことか」
「メシやんねーぞ」
「マジメに家で勉強します」