処刑バッヂ
「涼希……涼希、立って!」


あたしはまだ嗚咽し続けている涼希の体を揺さぶった。


「外へ逃げなきゃ!」


そう言い、涼希と共に体育館の入り口へと向かう。


その様子を真奈ちゃんと先生は含み笑いを浮かべて見つめている。


あたしたちが逃げられないと思っているのだろう。


でも、これが人間の作りだしたものなら、きっとどこかに欠点があるはずだ。


それがわかれば、逃げ切ることができる!


体育館の鍵を開け、扉を大きく開く。


体育館内の血生臭さから解放された、その時だった。


悲鳴と怒号が響き渡り、あたしと涼希はその場に立ち尽くしてしまった。


今の声は体育館の外から聞こえて来た。
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