処刑バッヂ
走って走ってたどり着いた先は家庭科室だった。


今はもうアラームは止み、静かな空間が広がっているだけだ。


あたしは大きく呼吸を繰り返して額に滲んでいる汗を手の甲で拭った。


「大丈夫か?」


涼希にそう声をかけられて、やっとの思いで首を縦に振った。


相手は途中まで追いかけてきていたけれど、もう教室の外にも姿は見えない。


ひとまず巻いたのだろう。


「逃げ来てたのはこの4人か……」



涼希の言葉に冷静になって周囲を見回してみると、梨央と和馬の姿があった。


「みんな、バッヂを持ってるの?」


そう聞くと、梨央が涙目で頷いた。


和馬の手にもバッヂが握られている。
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