ヴァーチャル・リアリティ
その顔はVRの中で見たあの男女で間違いなかった。


若い男女には体中に打撲の痕があり、もう1人の女性の顔面には包丁が突き立てられている。


周囲は血まみれて、自分と百花の服にも血がついている。


「なにこれ!」


ゴーグルを外した百花が叫ぶ。


「嘘だよこんなの。作り物だよ!」


あたしは叫びながら百花に駆け寄った。


震えているその体を強く抱きしめる。


こんなの嘘。


マネキンに決まっている。
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