ヴァーチャル・リアリティ
あたしはアユへ視線を向けた。


アユは逃げるわけでもなく、ずっと同じ場所に立っている。


熱を帯びた鉄の棒を押し付けることなんて、できるハズがない。


でも、これはゲームだった。


映像上にアユがいるだけで、実際にはそこには誰もいないのだろう。


あたしは先ほどまでと同じように足踏みをしてアユへ近づこうとした。


しかし、歩いても歩いても近づいて行かない。


疑問を感じて周囲を確認してみると、うねる色の中に白い矢印が浮かんでいるのがわかった。


それは映像上のアユへ向かっている。


「どういうことだろう……」
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