ヴァーチャル・リアリティ
それでもあたしは自分の声を無視した。


実際にアユになにかがあったのなら、こんなゲームを続けている暇なんてないんだから。


そう思い、ゴーグルを外そうとしたのだが……。


「痛い!」


少しズラそうとしただけで、こめかみに激痛が走っていた。


あたしは顔をしかめゴーグルから手を離す。


「これおかしいよ。ゴーグルが外せないもん!」


梨花子が叫ぶ。


「嘘だよ。なんだよこれ」


男子たちもゴーグルを外そうとしたのか、あちこちから悲鳴に近い声が聞こえて来た。
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