ヴァーチャル・リアリティ
書斎
「おい、アユはどうなったんだよ!?」


晴道がそう聞くがアナウンスは答えなかった。


不穏な空気が流れているのを肌で感じている。


『それでは次の部屋へ移ります』


アナウンスは決められた単語だけを淡々と説明する。


その機械的な声が更に寒気を誘った。


その場に棒立ちになっていると画像が切り替わり、書斎のような部屋が現れていた。


広さは6畳ほどで窓際に茶色い机が1つ。


その隣にキャビネットがあり、壁一面が本棚になっている。


「なぁ……さっきの部屋から思ってたけど、なんか見覚えがないか?」


そう言ったのは悠太郎だった。


何かを伺うような声色をしている。
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