【完】キミスター♡
私の中には、緋翠というヒトしか存在しない。
早くそれが緋翠自身に伝わるといいのに…と思う。

でも、急かすつもりは毛頭ない。

だって…答えを急がせても、そんなものは一時の迷いになってしまうかもしれないからだ。

私も、少し頭を冷やしたかった。
体温を移し合うことだけが、緋翠との気持ちの繋がりじゃない。

ちゃんと冷静に考えれば、そのことに気付けるはずだった。

なのに、それをしないで緋翠を追い詰めた。
そんな私のことを、嫌いになったって罪にはならないのに…緋翠はこんなにも私のことを考えてくれている。

ごめんね…。

そんな気持ちも込めて、私はもう一度小さくキスをした。

「…っ。み、海夏…っそういうの、反則…」

「…ん?なんで?」

「あー…ほんと、それ以上可愛くなんないで」

訳の分からないことを言われて、頭に疑問符を浮かべると大きな手がそっと頭の後ろに回されて、少しだけ深いキスを返された…。


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