課長の溺愛に付いていけません
まさか課長の上着の匂いにはまって、仕事していなかったなんて、言えない。

よし!一点集中!

私は資料とパソコンだけを、見つめた。


「あっ、その資料は、棒グラフにして。」

「はい。」

「ちょっと、数が少ないな。縦横逆にしろ。」

「はい。」

時々、課長の指導が入りながら、私はゴールに向かって、ラストスパートを切った。

「うん。これで終わりだな。ご苦労さん。」

「やっ……たぁ!」

私は大きく背伸びをした。


景気づけに、課長に貰ったコーヒーを飲むと、それはすっかり冷めていた。

「コーヒー、冷めちゃいましたね。」

今日で一番の、笑顔を見せたつもりだった。

「そうだな。じゃあ、俺の胸で温まるか?」

課長は、腕を大きく広げた。

「結構です!」


ったく、もう!

そう言う事じゃない、課長!!

< 12 / 57 >

この作品をシェア

pagetop