課長の溺愛に付いていけません
それを工場に行ってまで今日中に刷らせるなんて、やっぱり課長はすごい。

「マジかよ……」

橋本君も、茫然としている。

「そう言う訳で、橋本。俺は森の事、見捨てた訳でもないし、お前にも森を渡さない。」

「えっ……」

私の顔は、カーッと赤くなった。


「よし。これを先方の担当者に届けよう。」

課長は、私の腕を掴んで体を引き上げると、口を開けている橋本君を置いて、私達は相手の会社へと向かった。

いい匂いのする課長の車の中、私はふと、橋本君の言葉を思い出した。

「橋本君。課長は、私の事虐めてるんじゃないかって、言ってましたよ。」

「はあ?虐めるんだったら、他の方法でイジメてやるよ。」

「えっ?」

嫌な予感がして、課長の方を見た。

「早く俺の女にして、ヒーヒー泣かせてやりたいよ。」

「結局、そっちの話ですか。」

私は、久しぶりに笑顔で、街中を見た。




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