課長の溺愛に付いていけません
そう言って笑うみんなに、私はグッと拳を握った。


「止めて下さい!!」


私は、大きな声で叫んだ。

「私、課長のお気に入りだからって、序列を壊すような事、したくありません!」

「森……」

周りの人達はポカーンとしているのに、池田課長だけが無表情で、私を見ていた。

息が切れている私は、なんだか惨めな気持ちになって、会議室を出て行った。

「なんでこんなに、悩まなきゃいけないんだろう。」

もう嫌になって、涙がポロッと出た。


「姫。携帯鳴ってるよ。」

環奈が、私の携帯を廊下まで持って来てくれた。

「ありがとう、環奈。」

私は環奈から携帯を受け取ると、目を丸くした。

相手が池田課長、その人だったからだ。

どうする?

こんな時に、こんなところで携帯に出るの?


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