恋が始まる
「隼斗さん…好き、愛してる」
ふぅーー、と長い溜め息と頭頂部に押し付けられるぬくもり。
「愛してる。ずっと。…ずっとやで?」
「ずっと?」
「そう、もうこの際、カッコ悪いこと全部白状するな…、や、やっぱ嫌われそうやからやめ…」
「だめ。教えて」
教えてよ。嫌いになんて、なれないよ。
「もう充分カッコ悪いかぁ…」
そう言って黙りこんだ隼斗さん。
もう一度軽く溜め息をついて、私の頭から唇を離す。
「顔見んと、このまま聞いてな。…俺の授業必ず受けてくれる子がいてな、すごい可愛くて勉強熱心で。絶対合格してほしいなって思ってた。俺のどんな下らないギャグにも、絶対にっこりしてくれんねん」
こんなに穏やかな優しい声、初めてが聞くかもしれない。
「模試ラッシュでみんな疲れてても、直前期でみんなピリピリしてても、その子だけは俺の方みて熱心にノート取ってくれてた。その子は結局2年間いたんやけど、ずっと目指してた第一志望の難関大に合格して。合格しましたってとびきりの笑顔で報告してくれたん。合格してくれて凄え嬉しかったのに、もう彼女の笑顔が見られんって思ったら、どうしようもなく寂しかった。それで、知り合いの先生にに頼み込んで、一緒にベトナム行った。」
「え、」
「引いた?」
「いや、びっくりしましたけど……なんか嬉しい」
「本当は俺から告白したかったん。ベトナムで、葵からの好意は感じてたし。せやけど、浪人っていう特殊な環境で、しかも年上に意味もなく憧れる年頃やろ?葵の気持ちに自信が持てんかった。」
「意気地無し…」
「せやんなぁ…。けど、大学生なったら、出合いなんて掃いて捨てるほどあるんやで?」
「…大好き。信じて」
「信じるよ。愛してる」
腕を緩めて、唇を掬いとられる。
大人っぽい色気に目を細めながら、精一杯微笑んだ。
先生の寒いギャグに、好きが溢れたあの時みたいに。
「で、さ。今気づいたんやけど、あれ、無いわ。けど、どうしても抱きたいし、葵の身体全部見たいから、今から買ってくる。クールダウン出来て良かったかも」
微妙な顔をしながらベッドから降りる隼斗さん。
私の顔はきっと真っ赤に違いない。
ついさっき、完全に諦めたはずのこの恋が、思いがけずまた動き出した。
私が気づけなかっただけで、ずっと前から動いていたのかもしれない。
大好きな人とこれから過ごす長い時間に胸を高鳴らせながら、寝室から出ていく隼斗さんの背中を見つめて、心の中で呟いた。
大好きです。先生も、隼斗さんも。
―fin―
ふぅーー、と長い溜め息と頭頂部に押し付けられるぬくもり。
「愛してる。ずっと。…ずっとやで?」
「ずっと?」
「そう、もうこの際、カッコ悪いこと全部白状するな…、や、やっぱ嫌われそうやからやめ…」
「だめ。教えて」
教えてよ。嫌いになんて、なれないよ。
「もう充分カッコ悪いかぁ…」
そう言って黙りこんだ隼斗さん。
もう一度軽く溜め息をついて、私の頭から唇を離す。
「顔見んと、このまま聞いてな。…俺の授業必ず受けてくれる子がいてな、すごい可愛くて勉強熱心で。絶対合格してほしいなって思ってた。俺のどんな下らないギャグにも、絶対にっこりしてくれんねん」
こんなに穏やかな優しい声、初めてが聞くかもしれない。
「模試ラッシュでみんな疲れてても、直前期でみんなピリピリしてても、その子だけは俺の方みて熱心にノート取ってくれてた。その子は結局2年間いたんやけど、ずっと目指してた第一志望の難関大に合格して。合格しましたってとびきりの笑顔で報告してくれたん。合格してくれて凄え嬉しかったのに、もう彼女の笑顔が見られんって思ったら、どうしようもなく寂しかった。それで、知り合いの先生にに頼み込んで、一緒にベトナム行った。」
「え、」
「引いた?」
「いや、びっくりしましたけど……なんか嬉しい」
「本当は俺から告白したかったん。ベトナムで、葵からの好意は感じてたし。せやけど、浪人っていう特殊な環境で、しかも年上に意味もなく憧れる年頃やろ?葵の気持ちに自信が持てんかった。」
「意気地無し…」
「せやんなぁ…。けど、大学生なったら、出合いなんて掃いて捨てるほどあるんやで?」
「…大好き。信じて」
「信じるよ。愛してる」
腕を緩めて、唇を掬いとられる。
大人っぽい色気に目を細めながら、精一杯微笑んだ。
先生の寒いギャグに、好きが溢れたあの時みたいに。
「で、さ。今気づいたんやけど、あれ、無いわ。けど、どうしても抱きたいし、葵の身体全部見たいから、今から買ってくる。クールダウン出来て良かったかも」
微妙な顔をしながらベッドから降りる隼斗さん。
私の顔はきっと真っ赤に違いない。
ついさっき、完全に諦めたはずのこの恋が、思いがけずまた動き出した。
私が気づけなかっただけで、ずっと前から動いていたのかもしれない。
大好きな人とこれから過ごす長い時間に胸を高鳴らせながら、寝室から出ていく隼斗さんの背中を見つめて、心の中で呟いた。
大好きです。先生も、隼斗さんも。
―fin―
