終点は異世界でした。
本日も出発は時刻通りです。



ガタンと少し揺れたその振動に、私の虚ろになっていた意識が覚醒した。


ぼーっとする意識の中ふと窓の外を見ると、飲み会の帰りのサラリーマンの姿があちらこちらに見える。


じっとその光景を眺めていると、そっと肩を叩かれた。



「お客さん、終点ですよ。こちらの電車は車庫に入るので降りてください」



車掌さんにそう促されて、ハッと立ち上がる。


どうやら終点まで乗り過ごしてしまったようだ。


慌てて電車から降りて、駅の改札を通り抜けた。


まだ微かにモヤモヤする頭に、その場で一つ伸びをした。


なんだか……長い長い夢を見ていたような気がする。


どんな夢か思い出したいのに、全然思い出せない。






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