7・2 の憂鬱




会いたかった恋人と触れ合って、その上、こんなに素敵な食事を用意してもらって、戸倉さんは、わたしを甘やかすという宣言を、もう実行に移したのだ。

そして食事の後、戸倉さんはもうひとつの宣言も忘れなかった。

片付けもそこそこに、わたしを寝室まで抱き上げて運び、まだ乱れたままのベッドの上におろしたのだ。

明日も仕事だからと慌てるわたしに、戸倉さんは甘えるような目をして、

「まだ足りないんだ・・・」

耳元で、そう告げた。

シャワーを浴びて時間が経っているにもかかわらず、戸倉さんからは清潔な匂いがした。

わたしは、自分も彼と同じ匂いをまとっていることが嬉しかったし、なにより、戸倉さんの甘える仕草は、わたしを、最上限以上にまで煽るのだ。

明日も仕事だけど、もとから今日は泊まる予定だったし、恋人の希望を叶えるのに邪魔なものはないはずで。

それに、わたしだって・・・・


「覚悟しておいて、って言っただろう・・・?」

戸倉さんのそのセリフが、
わたしのなけなしの理性を陥落させたのだった――――――――――










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