7・2 の憂鬱
「え・・・?」
不意打ちにビクッとしながらもスマホを手に取ると、新着メールだった。
・・・戸倉さんからだ。
〔デスクの紙袋は僕が置いたものだから。誕生日おめでとう〕
簡潔な文面。
なのに、わたしは、そんな殺風景なメールが、嬉しくなってしまう。
戸倉さんが、わたしの誕生日を覚えていてくれた。
そりゃ、わたしの誕生日7月2日のことを話したのはこの前のことだけど、あんなことがあったあとなのに、去年と変わらず祝ってくれて・・・・ホッとしたのだ。
会議室では偉そうに『戸倉さんに甘えてばかりじゃいられない』みたいなこと言ったくせに。
入社して以来、望む望まざる関係なく、ずっと近くにいた人だから。
考えてみれば、わたしの今までの人生で、こんなに長く、近い距離を保っていた人はいないかもしれない。
同級生だって、一年ごとのクラス替えで疎遠になる人ばかりだったもの。
だから、戸倉さんと距離をおくことに、寂しさとか罪悪感とかを持ってしまうのだと思う。
・・・・でも、わたしと一緒にいると戸倉さんに迷惑がかかるのだから、しょうがないわよね。
自分に言い聞かせながら、わたしは、〔わざわざありがとうございました。嬉しかったです〕と戸倉さんに返信したのだった。