冷たい部長の甘い素顔
昼休みを終えて席に戻ると、服部さんが部長に怒られていた。
「いい加減な仕事をするな!
うちの数字が間違ったら会社全体の判断を
間違えさせる事にもつながるんたぞ!」
部長の目が、いつにも増して、冷ややかだ。
「すみません。」
服部さんは泣きそうな位、うなだれている。
うちの会社は従業員千人を超える大企業だが、うちの部は、部長以下6人しかいない小さな部署だ。
全員が部長直属の部下である企画部で、服部さんは、チーフを務めるリーダー的存在だ。
何のミスをしたのかは、分からないが、あの冷たい目で淡々と叱られるのは、怒鳴られるより怖いかもしれない。
服部さんがようやく解放されたので、私は席を立ってコーヒーを入れて来た。
「服部さん、ドンマイ!」
私がコーヒーを置いて、服部さんの肩をポンと叩くと、服部さんは、
「ありがとう。」
と笑顔を向けてくれた。