極上な王子は新妻を一途な愛で独占する
きつく掴まれてはいないので、痛くない。
けれど振り解く事も出来なかった。

カレルがこんな事をするのは初めてだから、シェールはどうすればいいのか分からず、情け無い声を出した。

「ね、ねえ、それ返して」

ベールに目を向けて言えば、ひと事「嫌だ」と言われてしまう。

「……カレル、どうしちゃったの?」

王族だとか、職業の謎とか以前に、今日のカレルはいつもと違い過ぎる。

戸惑うしかないシェールに、カレルが言った。

「久しぶりに見たくなった。本当に綺麗な髪だよな」

カレルは掴んでいたシェールの腕を離すと、その手で今度は蜂蜜色の髪を撫でて来た。

「で、でも私の髪は薄い色だから、あまり良くないんでしょう?」

マグダレーナに言われた事を思い出し、聞いてみる。

「そんなの関係ない。俺はこの色が好きなんだよ」

優しく微笑まれ、こんな時なのに胸がときめくのを感じながら、シェールは言った。

「黒髪は特別だって聞いたの。その事をカレルは知っていた?」

カレルの表情が、ほんの少しだけ変化した気がした。

なんて答えが来るのだろう。
緊張して待つシェールに、カレルは予想外に軽い口調で言った。

「知ってる。この国で黒髪は王の血筋の証……って話だろ? けど、黒髪全員王の血筋、な訳ないだろ」

「え……そうなの? でも私純粋な黒髪を見るのカレルが初めてだった。滅多にいないって事でしょう?」

「そんな事ないけどな。他国には普通にいるし、その血が混じる事だって考えられるだろ?」

「それは、確かに……」

では、マグダレーナとその侍女の言っていた事は間違いなのだろうか。






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