姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
乙矢が気付いていない振りをしていたのを、
見抜けなかったのが悔しいらしかった。
「住んでたとこが火事になったのは本当だよ。
……火を使う輩に、ちょっと復讐されかけてなあ」
さらりと自然に言ったが、
もちろんそれはただの放火魔ではないのだろう。
聞いただけでもぞっとしたが、そんな事は気にしない乙矢は、
呑気にけらけら笑い始めた。
「まさか、同棲してたとはなあ」
「おっちゃん、俺もいるんだから『同居』って言ってよ」
孝が、眠そうに眼を擦って訴えた。