姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
 


『矢』を避けて、前後左右に猛スピードで飛行しながら、エリアルは動揺した。


「だって……このままじゃ、共倒れじゃない! 

私さえいなければ、エリアルは戦えるのに……!」


「君は馬鹿か! 

……そんな事出来るわけないだろ!」


「馬鹿な事くらい分かってるわよ!」


「いいや、分かってない! 

この高さから落ちて、助かるわけが無いだろう!」
 
近くに、小夜子を下ろせそうなビルは無い。
 
しかし彼としては、一人になった小夜子が、金髪野郎に狙われそうで怖かった。



「そのくらい覚悟くらい出来てるわよ! 

私を甘く見ないで!」
 


自分が死ぬかもしれない。
 
そんな事よりも、エリアルが今、自分を抱えているせいで戦えない事の方が、小夜子には辛かった。
 

足手まといになるくらいなら、さっさと落として欲しい。
 


彼が助かる手段が、それしかないのなら。


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