姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
実は……彼女は、この戦いに身を投じてから、常にそういう覚悟を持っていた。
暗い覚悟だったかもしれない。
だが、本気だった。
しかし、
「嫌だ!」
エリアルは、何かを言いかけた小夜子に、無理やり口付けした。
――はじめての、キスだった。
今まで、小夜子が頑なに拒んでいたもの。
……まだ早い、まだ早いと、エリアルに我慢を強いていた事……。
「……君を捨てて生きるくらいなら、今ここで一緒に死んだ方がマシだ」
エリアルは急停止し、『矢』を全部、その背中で受けた。
――ドドドドッ!
小夜子が、悲鳴に似た叫び声を出した。
しばらくして、青年が溜め息を吐いた。
「茶番の終わりが、これですか……」