姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
青年は、両手を前に翳した。
しかし、もうその『矢』はエリアルの支配下にあった。
コントロールが利かない!
自らの『血』を自在に操る悪魔――吸血鬼!
なんて奴らだ!
だが、それでも青年は、自らの誇りは失わなかった。
「……この『矢』は、僕のものだ!」
『黒い矢』は、数本が体を貫通し、その他も容赦なく彼の体を鋭く傷付けた。
頭の三分の一近くが吹き飛び、青年はよろけた。
ふらりと前のめりになり、自分の体の、『矢』に抉られた部分を、同じく抉れかけた手で触っていた。
……それでも、死なない。
『黒い矢』は、戻って来なかった。
あれを自在に操るには、まだエリアルよりも、彼に分があるようだった。
抉れた肉は、パリパリと再生し始めていったが、彼は攻撃の手段を奪われてしまった。
「ふふ……ふふふ……予想以上です。
……この僕とした事が、熱くなるなんて……」