姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
「……ちっ!」
青年は、気付いていた。
自分の放った『矢』が、戻って来ない事を。
何度も戻って来るように、操作していた。
しかし、『矢』はエリアルから離れる気配が無い。
「……なんだ、お前の『矢』は、もう無いんだな……」
エリアルは、青年の焦りを的確に読み取っていた。
「なら……こっちからいかせて貰おう」
突如として、エリアルの背中に、黒い棘が生えた。
いや、それは錯覚だった。
実際は、エリアルの背中に刺さったままの『矢』を、彼の血が覆ったのだった。
青年は、背中にひやりとしたものを感じた。
遊びすぎた……。
しかも、相手が悪かった。
自分にとって、エリアルは最悪の相手だった。
「この『矢』、君に返すよ……せいぜい、きちんと受け取る事だな」
言った瞬間、『黒い矢』が一斉に放たれた。