姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
「保護して……充分に、治療するはずだったんだけどな。
連れてかれた……。
でも、多分生きてるだろう。
フェニックスにとって、彼は今まで以上に、利用価値のある人材になったから……」
鬼山は一瞬、顔を曇らせた。
俺には、なぜ重傷の銀司に価値があるのか、そして鬼山が哀しそうに呟く意味が分からなかった。
「ああ、でもな、良い知らせもある。
玉野喜咲は、一命を取り留めたぞ。
かなり危ない状態で、意識もまだ無いが、集中治療室にいる……」
「そういえば、……あの人、いきなり爆発したんだ。
何が起こったのか、いまいちよく分からないんだけど……」
脳裏に、彼女の返り血を浴びた記憶が蘇る。
生温かくて……生臭くて、出来れば二度と味わいたくない感覚だった。