姉さんの先輩は狼男 孝の苦労事件簿③
俺が言った瞬間、エリアルがびくりと反応した。
そして、そーっと俺の方に振り返る。
姉さんが苦笑した。
「ああ、あれね。もう無いわ。
この前ビーフシチュー作った時に、
全部使っちゃったから……」
「うん、知ってる……」
エリアルが、しょんぼり答えた。
何でもあれは、エリアルがこっそり買って来た、
かなりお高いものだったらしい。
それを、姉さんが知らずに、
全部料理に使ってしまったという次第だった。