白衣の王子様の恋愛感 【番外編12月7日up】
「小さいままではいられなかったのに。いつのまにか、私も結婚ができる歳になっていたんだよね。もちろん、ゆう君はとっくに結婚できる歳になっていたのに、私が邪魔していたんだよね?・・・アメリカまで図々しく、ついて行っちゃっうなんて、ゆう君もやっと私から離れられたのに。また、私の面倒見なきゃいけなくなっちゃったから、あっちでもオチオチ恋愛もできなかったんだよね。あの時は、ごめんね。」



何度も謝っても時間は戻って来ない。

だから、少しでも早くゆう君が幸せの時間を掴めるように、スパッとこの思いを切り、ゆう君にその事を伝えるのが私の役目。



「・・・でも、もうしない。私ね、この間、合コンに行ってみたの。男の人が向ける好意の視線がずーと苦手だったから、行った事なかったけど・・・。そしたら、ゆう君まではいかないけど、意外とカッコイイ人っているんだよね。ちょっと付き合ってもいいかな?て人に会って・・・向こうも私の事、良いと思ってくれたみたいで、今度、2人っきりで出かける事にしたんだ。その後、付き合う事になるかわからないけど、ちゃんと向き合っていけたらいいなあ、て思ってる。・・・だから、ゆう君はもう私の事は心配しなくていいんだよ。」



1つ1つ、今、私が考えている事をちゃんと言葉に出来たと思う。

ゆう君に今までの感謝と、これからは私のことは考えないで、幸せをつかんで欲しいという気持ちを込めて。

でも、胸が潰れそうに痛い。

息が出来ないみたいに喉が絞まる感じがする。

ゆう君へのさよならは、予想していた以上に私に苦しみを与える。




「・・・ノリの話しはそれだけ?」

いたって穏やかな口調のゆう君に、いつのまにか下げていた視線を戻す。

「え?・・・うん。」

頷いてから、また視線を泳がせた。

ゆう君をまっすぐ見れない。

それは、本当はゆう君を好きな気持ちを終わらせたくないから。

嘘つきの私はどこを見ていいのかわからない。



「・・・じゃあ、今度はオレの話し。」



そう言って、ゆう君は強い眼差しで、私を見据えた。




< 100 / 136 >

この作品をシェア

pagetop