白衣の王子様の恋愛感 【番外編12月7日up】

車で10分もかからないゆう君の住む家は、広い通りの両側に一軒家が立ち並ぶ住宅地にあった。

家の前の駐車場に3台くらい車が置けるスペースがあり、門などはない。


キッチンで紅茶を入れてくれた後、ゆう君はシャワーを浴びにバスルームへ消えた。

平屋の3LDK。

お庭にはガーデンテーブルのセットがあった。

何度か、病院の研修仲間でバーベキューをしたことがあると聞けば、羨ましいと思う私。

ここで、ゆう君は暮らしているんだ・・・。



濡れた髪をタオルで拭きながら、私がいるリビングに顔を出す。

「じゃあ、オレ、寝る。・・・5時になっても起きてこなかったら起こして。」

そう言ってリビングの隣の寝室へ入って行こうとする。

「待って、ゆう君・・・。」

呼び止めて、小走りで近寄る。



「あのね・・・ん~と・・・ぎゅっとしてくれませんか?」

「ん?・・・どうした?」

くすくす、てゆう君が笑ってる。



「だって!・・・ずーとぎゅっとされてない・・・。日本にいる時は、時々してくれたじゃない・・・。」

「・・・くすくす。1年も会わなくて、見た目、すっかり綺麗な大人の女性になってたから・・・中身はまだ変わらない、お子様って事?・・・おいで。」



くすくす笑いながら、手を引いて、腕の中に閉じ込めてくれた。

このゆう君の温かさが落ち着く。

泣きたくなる・・・。



「・・・いつもの香りと違うなあ。」

耳元で呟くように言うゆう君。

「ん?・・・こっちでシャンプーとか買ったから。ゆう君もシャンプーの香りは違うけど・・・コロンかな?一緒の変わらない香りだね。これ・・・好き。」

”これ”には、香りだけじゃない・・・ゆう君も含まれているんだよ。

きっと伝わらないね。





「・・・オレ・・・もうダメ。」


「え?」






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