白衣の王子様の恋愛感 【番外編12月7日up】
ゆう君の秘蔵のスパークリング・ワインを飲み、続いてワインも飲んだ。
ボトルが3本目に入る頃、私の記憶も理性も妖しくなってきた。
2人でダイニング・テーブルを離れて、ソファに並んで座る。
「帰りたくないなあ・・・。アメリカ、とっても楽しかった。なんて言ったってゆう君の恋人になれたしね~。演技、だけど。」
あはは、と笑いながらワイングラスに口をつける。
「オレも楽しかったよ。ノリの恋人になれたこと。演技、だけど。」
同じようにゆう君もニコリとしながら続きを飲む。
一瞬、ドキッとした。
私の恋人になれたことが嬉しかったのかと思った。
でも、ゆう君は「嬉しい」ではなく「楽しい」と言ったんだと、酔った頭で思い返す。
そして、私の酔った勢いは、スピードをあげた。
「・・・ゆう君は、ずーとお付き合いしている人が切れなかったじゃない?なのに、今はいないでしょ?欲しくないの?」
本当は、いつも聞きたかったけど、怖くて口に出せなかったゆう君と女性の話題。
普段なら絶対聞かないのに、やっぱり酔ってるせいかな。
言っちゃった。
「うーん。こっち来て本当に忙しいんだよ。」
更に畳み掛ける。
酔った勢いって、自分でも恐い。
理性崩壊が止められない。
「えー。必要じゃないの?・・・男の人なんだから、いろいろ・・・困るでしょ?」
酔っていても、そういう男の人の事情を口にするのは恥ずかしい・・・。
今の私って、酔っている以上に、顔が赤いと思うよ~。
「!うっっ!と、あぶねえ。噴出す所だった。・・・多少はね。必要に駆られる時も、正直あるよ。て、ノリもそんな大人のこと言うようになったんだね~。」
茶化すような口調で私の頭をグラスを持っていない手でぐりぐりと撫で回す。
「もう、やめてよ~。子供じゃないんだから!」
ニヤニヤしながらのゆう君の手を、何度も払い落とした。
2人とも酔っているからか、昔より近いじゃれあいに、新鮮な感じがする。
ふと、ゆう君が私の手首を掴んだまま動きを止めた。
「ん?どうしたの?」
ソファで隣り合う、近い距離で見つめたまま私は首を傾げた。