ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
私は結局、アルバさんやシュヴァルツさんに頼らなければ自分の身を守れなかった。
シュヴァルツさんを助けたい、なんて思っても、何の役にも立てなかった。
「シュヴァルツさんは、人間を助けるためだけにオークションに?どうして、シュヴァルツさんには何の得にもならないのに……」
「他の人間を見捨てれば、お前は帰らないだろう」
私のため?
「どうしてそんなに私を助けてくれるんですか。私なんて、貴方を不幸にするばかりなのに」
また涙が溢れてくる。
背後で、私達を追ってくる無数の足音が聞こえてきた。これはこの数日、私をずっと探し回っていたベルベットの騎士団のものだと分かる。
「アカリ、こっちだ」
シュヴァルツさんは私を下ろし、手を引いて廊下の角を二つ曲がると、そこの壁にあったくぼみに私の体を押し込み、続いてそれを覆うようにして二人分の身を隠した。
ベルベットの騎士団は短絡的な動きしか見せず、素直に廊下の道順に従って通りすぎていく。