ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋
ウェイターさんがカフェオレを持ってきてくれて、私たちは一口飲んだ。
エミちゃんはニコニコしながら、話を続ける。
「変わったよ。前はもっと話しにくいのかと思ってた。食事会とかにも全然参加してなかったし」
「ふふ、そうだったね」
「……あの事件がきっかけ?」
“あの事件”
二年経った今でも、この町で私とエミちゃんは有名人だ。学内でも未だに噂になるほど、私達は奇跡のペアだと言われている。
「行方不明事件のこと?んー、どうかな?」
「あのときは驚いたね。私達含めて四人、神隠しにあってさ、四人とも誰もそのときの記憶がなくて、気がついたらあの不気味な館に倒れてるところを発見された、って。警察の人にしつこく事情を聞かれて。記憶がないのに、本当大変だったなぁ」
「そんなことあったね。もう二年前なんだ」
「でも、それがきっかけで仲良くなれたんだよね、私達。朱莉ちゃんのイメージも変わったよ」
私は頷いた。たしかに、私は変わったと思う。