ヴァンパイア・シュヴァルツの初恋

ウェイターさんがカフェオレを持ってきてくれて、私たちは一口飲んだ。

エミちゃんはニコニコしながら、話を続ける。

「変わったよ。前はもっと話しにくいのかと思ってた。食事会とかにも全然参加してなかったし」

「ふふ、そうだったね」

「……あの事件がきっかけ?」

“あの事件”

二年経った今でも、この町で私とエミちゃんは有名人だ。学内でも未だに噂になるほど、私達は奇跡のペアだと言われている。

「行方不明事件のこと?んー、どうかな?」

「あのときは驚いたね。私達含めて四人、神隠しにあってさ、四人とも誰もそのときの記憶がなくて、気がついたらあの不気味な館に倒れてるところを発見された、って。警察の人にしつこく事情を聞かれて。記憶がないのに、本当大変だったなぁ」

「そんなことあったね。もう二年前なんだ」

「でも、それがきっかけで仲良くなれたんだよね、私達。朱莉ちゃんのイメージも変わったよ」

私は頷いた。たしかに、私は変わったと思う。

< 199 / 209 >

この作品をシェア

pagetop