年下御曹司は初恋の君を離さない



 しかし、逃げるもなにも……彼の方から私のテリトリーに入ってくるとは予想外だったと言わざるを得ない。だけど……、私にだって都合というものがあるのだ。

 ドキドキしすぎて苦しいのに、それを表に出さないことに必死である。
 冷静さを装いながら、私は至近距離にいる友紀ちゃんを見つめた。

「よ、容赦しないとは……?」

 聞かなくてもなんとなくニュアンスでわかっている。わかっているけど、具体的にどうなるのか聞いておかないと自分の身が危うい。

 頬を引き攣らせながら聞くと、彼の表情が一転。スッと真顔になったかと思うと、再び私にキスを仕掛けてきた。

「っふ……ん……ぁ」

 深く情熱的なキスに身体から力が抜けてしまう。

 先日、副社長室でされたキスはファーストキスだった。じゃあ、これはセカンドキス? いや、先ほどすでに唇を奪われてしまったから、サードキス?

 友紀ちゃんの熱い吐息を感じ、キスを拒むことができない。


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