年下御曹司は初恋の君を離さない

「キスだって、この前が初めてだったんですよ」
「嘘だ!」

 私の口からスルッと飛び出した言葉に、友紀ちゃんは眉を顰める。

「本当ですよ」

 彼の言葉には嘘は見当たらない。どうしても嘘であることを証明したくても、それはできなかった。
 彼の表情を見ても、嘘をついているようにはとても見えない。

 だが、これだけ格好よくて優しくて、そしてステータスも高い友紀ちゃんが……キスが初めてだったなんて未だに信じられない。

 キスが初めてだということは、彼は、その……経験もないということだ。
 いやいや、それはないでしょ。それはない、ない。
 心の中で自分に言い聞かせてみたが、どうにも言うことを聞いてはくれない。

 唖然として口をぽっかりと開けたままの私に、友紀ちゃんは真剣な面持ちで口説いてくる。

「早く俺だけの未来さんになって?」

 耳に残る低くて甘い声。そして、至近距離からの熱い視線に私は目眩が起きそうだった。
< 154 / 346 >

この作品をシェア

pagetop