年下御曹司は初恋の君を離さない

 好きだ、と友紀ちゃんは私に惜しみもなく告白をしてくる。そのたびに動転してしまう私たが、今回はもっと何も考えられなくなってしまった。

 胸がキュンと締めつけられるほど、彼の気持ちが流れこんでくる。
 ドクンドクンと胸を打つ音は、段々と速く、そして大きくなっていくのがわかった。

 活気ある会場の中で、自分の鼓動の音しか聞こえない。その異常事態に、私はとにかく大いに慌てる。
「ちょ、ちょっと待って! 友紀ちゃん。離して」

「離したくないんだけど」
「冗談言っていると帰るわよ!」

 悪態をつく自分の口だが、心の中では違うことを考えていた。

(友紀ちゃんの腕の中……気持ちがいい)

 友紀ちゃん以外の男性に、こんなふうに抱きしめれたことは遙か昔のことだ。

 自分が大学生のときが最後だから……考えるだけでも恐ろしい年月が経っている。
 思い出したくもない過去。そして、私を傷つけた言葉。
 それを同時に思い出してしまったのだが、なぜかいつものように心がギュッと鷲づかみされたような痛みが襲うことはない。
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