年下御曹司は初恋の君を離さない

 藤司さんはそれ以降、私のことをさりげなく男性から守ってくれるようになった。
 帰り道も一人にならないように気を遣ってくれたり、サークルの仕事もなるべく女性と一緒に出来るものを勧めてくれたりもした。

 そんなふうに気遣ってくれる男性は初めてだったので、とても嬉しかったことは記憶に残っている。

 尊敬から親愛に、そして恋心に変わるのに時間はかからなかった。
 藤司さんなら、私を女として扱ってくれる。このトラウマから脱出させてくれるかもしれない。

 淡い恋心とともに、男性不信で出来てしまった心の傷が少しずつ回復に向かっていたのだが、残念ながら幼すぎる私の妄想で終わることになる。

 藤司さんは大学を卒業し社会人になっても時折サークルに顔を出してくれた。
 社会に出て、ますます彼は素敵になっていく。責任と覚悟を背負い、大人の男性へと変貌していく様にどれほど恋い焦がれただろう。
 そんな彼を見て、私の心はこれ以上ないほどときめいていく。

 大学四年生になった頃、私は一大決心をしていた。
 藤司さんに告白をしようと決意したのだ。
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