年下御曹司は初恋の君を離さない
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 あのあと藤司さんと私はホテルのラウンジに遅れて到着したのだが、彼が宣言していた通りで友紀ちゃんたちにうまく誤魔化してくれて助かった。

『荷台から荷物が転がり落ちてしまって、それに足止めされたんですよ。久保さんはお優しいので、荷物を戻して差し上げていたんです』

 と、まぁ……事実を織り交ぜながら話して友紀ちゃんたちに不信感を与えずに済んだことは感謝する。
 だが、元はと言えば藤司さんが階段の踊り場まで私を引っ張ったことが原因なので、なんとも言えぬ気持ちになったことは言うまでもない。

 若干冷や汗をかきながらも、いつも通りのクールな秘書を演じることはできたと思うのでよしとした。
 ホテルのラウンジにやってきたのだが、ちょうど人も少なく商談するにはもってこいの場所だった

 せせらぎの社長との商談は、世間話から現在のお菓子業界についての話、今後を見据えた話など多岐に渡る内容で友紀ちゃんを始め、せせらぎの社長も、そして藤司さんも有意義な時間が過ごせたのではないかと思う。

 今回、急に決まった商談の場ではあったのだが、なんの準備もなく投げられた質問や疑問に即座に受け答えしている友紀ちゃんはさすがだ。
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