年下御曹司は初恋の君を離さない

 
 今、未来さんは社長と一緒に外へと出かけている。

 社長秘書が風邪でダウンしてしまったため、急遽未来さんがピンチヒッターを務めることになったのだ。

 本来ならこの副社長室で俺のサポートをすることが仕事ではあるが、俺は今日はずっと社内にいることは決定しているし、会議もないし、来客予定もない。
 特に未来さんの力が必要ではないと社長は判断をし、半ば無理矢理彼女を連れて行ってしまったのだ。

 で、未来さんの代わりに今日限定の副社長秘書に任命されたのが、俺の従姉妹である長谷川智子だ。
 しかし、彼女はこの副社長室へ入ってきた途端、俺に食ってかかってきた。

 まぁ、彼女が憤っている理由はわかっているし、俺も気になっていたことなので遅かれ早かれ智子が騒ぎ出すのではないかと想像はしていたのだが……やはり予感的中だったらしい。

 入ってきて早々で、このセリフ。さすがは智子だと苦笑してしまう。

 そんな智子だが、俺はこの数年かなり世話になっていた。
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