年下御曹司は初恋の君を離さない
帰国してからすぐ、そのときの状況を調べようかとも思ったのだが、止めておいたのだ。
俺が彼女の力になり、癒やしてあげて、彼女らしさを取り戻したい。そう考えたからである。
だが、そんな悠長なことを言っている場合ではなくなってきたようだ。
彼女が大学四年生の時の出来事が、今も尚未来さんを苦しめている。そんな気がしてならない。
未来さんの過去を調べること。当人からしたら、決して気持ちがいいものではないだろう。
だが、彼女はその過去に押しつぶされそうになっているのだと思う。
今、彼女に手を差し伸べなければ、何もかもが手遅れになる。そんな気さえもする。
まずは、当時のことを知っている人間から話を聞くことから始めた方がいい。
俺は携帯を取り出し、紀彦に連絡を取り付けたのだった。