年下御曹司は初恋の君を離さない


 今日も定時に終わることができず、残業をしてきた私。
 疲れ切った身体に鞭を打って実家に帰った私を待っていたのは、いつ来るかと楽しみにしていた定期便だ。

 季節ごとに送られてくるそれは、何年続いていることだろう。
 彼女が高校生、そして私が大学二年の頃からだから……かれこれ八年は続いているかもしれない。

 もう一度、葉書の表を見つめる。
 そこには、私が住む実家の住所と私の名前。そして彼女の名前「友紀」とだけしか書かれていない。

 彼女がどこに住んでいるのか、この八年間わからずじまいなのだ。
 だからこそ、私からは返事を送ることができずにいる。それも八年間もの間ずっと……

 消印を見るとアメリカからだが、毎回違う州から送られてきている。
 だから、友紀ちゃんがアメリカにいることはわかっているが、どこに住んでいるのかは全然わからない状態だ。

 しかし、疑問は増えるばかりだ。
 どうして彼女は私の住所を知っていたのだろうか。
 本人の口で明らかになることがあるのか……今の段階ではわからない。

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