年下御曹司は初恋の君を離さない
男らしい格好をしていれば、線の細い男性にも見えただろうが、社会人になってからはそういう訳にもいかなくなってくる。
社会人になってからの彼女は本当に女性の美しさが溢れかえっていた。
彼女に見つからないように、時折日本にやってきてはこっそりと遠くから眺めることをよくしていたので、彼女がより魅力的になったことはわかっていた。だが、内心穏やかでいられるわけがない。
だって、そんな彼女に男が黙っているはずもないからだ。
どうやって彼女を不埒な輩たちから遠ざけようか。
未来さんが小華和堂に入った頃は、しきりに考えていた。
そんなふうに頭を悩ませていた俺に、吉報が飛び込む。
運が良いことに、新人研修が終了後すぐ未来さんは秘書部に所属となったのだ。
これは本当に俺的には都合がよくて、思わずニンマリとほくそ笑んだのは未来さんには一生内緒にしておかなければならないだろう。
社長である父、副社長である叔父。そして、秘書室長。
彼らに、俺が近い将来小華和堂に就職することを約束する代わりに、交換条件を言い渡したのだ。
未来さんに近づく輩を、片っ端から排除してほしい、と。
父さんはなんとしてでも俺に跡を継いでもらいたいと願っていたので、俺の決断には諸手を挙げて喜んだが、交換条件が難色を示すものだったためかなり渋られた。
最初こそ、三人のオヤジたちは拒否してきた。
彼女の人生なのだし、外野がとやかくいう問題ではないと口々に言っていたのだ。
だが、未来さんが明らかに男性から距離を置こうとしていることに各々が気がついたのだろう。
ある意味危なっかしい未来さんを、オヤジたちは自分の娘のように守りだした。