翼の折れた鳥たちは
「俺、これから何したいんだろうね」

嘲笑しながら誰に問いかける様子でもなく吐き捨てた敦也くん。

「敦也くん、あのね……」

私だって、1年後の自分なんて分からないよ。何をしたいか分からないから、敦也くんを納得させるだけの言葉を伝えることが出来ないでいるんだよ。

そう言おうと思ったのに……。


「さぁ、病室戻ろうかな。葵ちゃん、車いすへの移乗手伝ってくれる?」

そそくさと話を切り上げるように私の言葉を遮った敦也くんが、いつもと変わらない笑顔に戻って私にお願いする。



車いすに乗った敦也くんは、お礼を伝えると私の前を横切って、出口に向かって車いすを漕いでいく。


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