翼の折れた鳥たちは
「そっ、それならいいけれど。今回だけは特例ですからね」

重光先生に注意事項を遮られた看護師長はしどろもどろになっている。


「でも、本当に良かったね。敦也くん」

私が声をかけると、ニンマリと敦也くんが笑みをこぼした。



チカラくんが車いすバスケの見学に同行したいと提案してくれてから、10日。

重光先生に相談したチカラくんのおかげで、重光先生が敦也くんの両親や部長に掛け合ってくれた。

車いす業者の三嶋さんも現地でサポート体制を整えてくれることを約束してくれて、『特例』ということで外出許可が下りた。


敦也くんは本当に嬉しそうにしていて、今日は朝早くから準備していたんだった。

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